SaaSのメリットとして拡張性が高く、スケールメリットがある点を前回の記事で紹介しましたが、SaaSを考える上で欠かせないテナントについてアウトプットします。
SaaSマルチテナントとは
従来のソフトウェアですと、ユーザー側でデータなどを管理していた事に対して、SaaSはSaaSベンダー側が利用者のDBなどを管理する必要が出てきます。
SaaSのテナントとは顧客の組織単位をテナントと呼んでいて、
利用者が増えるとテナントが増えていきますから、マルチテナントと呼ばれています
SaaS運用の難点として、このマルチテナントの構築を考える必要があり、ここを考えないと、運用ステージ、いわゆる顧客が増えたときに、運用コストが増えてしまって、SaaSのスケールメリットを享受できなくなってしまいます。
SaaSテナントの種類
・サイロモデル
以前SaaSの前にASPというサービスがありましたが、結果として普及しませんでした。
その原因の一つとして、セキュリティが挙げられています。
SaaSは同じサーバーでテナントを共有することで、スケールメリットが生まれますが、全てのプロダクトにそれがメリットとして当てはまるわけではないです。
このサイロモデルはテナント1にはテナント1のサーバー・データベース。
テナント2にはテナント2のサーバー・データベース。
テナント3にはテナント3のサーバー・データーベースといった具合に分離のレベルが高いため、他のテナントの影響を受けにくく、セキュリティレベルが高いことが特徴です。
ですから、多くの利用者を想定するSaaSよりも、銀行や金融業界など、機密性の高い情報を取り扱った顧客を対象とする場合、このモデルだとユーザーも安心するはずですし、営業サイドとしてもこのような利点があると販売しやすいです。
・プールモデル
最もSaaSのスケールメリットを受けやすいモデルかと思います。
テナント1・テナント2・テナント3 共有したサーバーとデータベースですね。
利用顧客が多くなる場合にこのモデルを採用すると、利用者が増えても運用コストが上がりにくく、上記でも伝えたスケールメリットは担保しやすいですし、営業でもこの手のSaaSプロダクトを扱うことが多いです。
・ブリッジモデル
このモデルはサイロモデルとプールモデルの中間といった印象でしょうか。
サイロモデルほどセキュリティは高くないが、プールモデルほど低くない
プールモデルほど運用効率は良くないが、サイロモデルほど運用効率は悪くないといったところ。
テナント1・テナント2・テナント3は共通のサーバーですが、DBは各テナントごとに別です。
ある程度セキュリティを担保しつつ、運用コストを下げて、収益性を上げていくモデルみたいです。
・ハイブリッドモデル
このモデルはサイロモデルとプールモデルが混在するモデルです。
このモデルはBtoBのSaaSで使われることが多い気がします。
というのも、SaaSはロングテールの考えが使われます。
特定のテナントがかなり使ってくれていて、売り上げの6~8割を占めていて、残りの4~2は複数の企業が利用しているケースが想定される場合ですね。
SaaSで成功した企業といえばセールスフォースなんかもそうですが、2007年に日本郵政公社が顧客情報管理システムにセールスフォースのSaaS型プロダクトの採用が決まったと。
このように大型の顧客がいる反面、SaaSは従来パッケージと比べて、初期コストを抑えて利用できますから、2~30名規模の中小企業も同じSaaSプロダクトを少量ながら利用します。
この場合、大型顧客はサイロモデル、小口の顧客はプールモデルなど、このようなケースが想定される場合はハイブリッドモデルがいいかもしれません。
ノイジーネイバーとは
なぜ大型と小口を分けるかというと、このノイジーネイバーといって、大型顧客と同じリソースを共有する場合、利用量が圧倒的に違いますから、他のユーザーにも影響を与えてしまうと、ですから、大型と小口のテナントを分けるということらしいです。
SaaSの営業をしているとこのテナントの概念は頭に入れておくことによって、顧客からも信頼されやすいですし、特にビジネスサイドだと、エンジニアサイドと話をする上で理解していた方が、エンジニアから信頼される営業パーソンになれると思います。
関連記事
コメント